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 トルコ経済

エルドアンとトルコ政治

トルコの大統領エルドアンは、国際社会から独裁者というレッテルを貼られているようですが、本当にエルドアンが独裁者なのか?エルドアン大統領の軌跡を追う。

2018年末のカショギ氏暗殺事件

2018年年末にトルコのサウジアラビア領事館にて、サウジのジャーナリスト、カショギ氏が殺害をされました。

これは国際法では大使館、領事館内では治外法権特権が認められているため、トルコの警察、司法当局は捜査ができないことになりますが、エルドアンはこの事件を察知しており、結果としてトルコ警察がサウジ領事館を捜査するという衝撃の事件となりました。

この事件は、サウジのジャーナリスト、カショギ氏がサウジ皇太子に対して批判的な記事を書いたために皇太子がトルコの領事館に呼び出し、これを殺害したとした事件になります。(当然、サウジはこの事件の首謀者がMbS(サウジ皇太子)であることを否定)

この前にトルコで起こっていることは、トルコがイラン、カタールと親交を深めそれと対立するアメリカと険悪な関係になったことがあります。結果として、トルコはアメリカから経済制裁を受け、経済は青色吐息の状態でした。

その際に、トルコの司法独立権を侵害する米国人牧師ブラソン氏がアメリカの要求によって解放をされています。これはトルコの国家主権を侵害するもので到底、トルコ、エルドアンには受け入れがたいものですが、眼前の経済状況をみればアメリカに頼らざるを得ない状況でした。

これが、このカショギ事件によって、一気にアメリカが守勢に回ったのです。このカショギ事件でのエルドアンの政治手腕は国際的に注目を浴びました。

まず、事件の首謀者であるサウジは、先のイラン問題で対立をしています。イランはイスラエルを攻撃する可能性があり、そのイスラエルの同盟国がサウジ、アメリカになるのです。そのサウジの時期国王と目されるMbS(ムハンマド・ビン・サルマン)が民間人を「気に入らない」という理由で殺害をしたというのは決して、国際社会から受け入れられるものではありません。

ところがアメリカはイラン問題に際して、サウジやイスラエルの協力は不可欠であり、サウジをこのような問題を起こしたからといって切り捨てる訳にはいきません。トルコはアメリカから経済制裁を受けて経済は青色吐息、この事件をきっかけに強硬にアメリカに経済制裁などのさまざまな規制を解く様に迫ったのがエルドアンでした。

このエルドアンの優れている点は、通常の国家の場合、非難声明などを出して自重を促すのが通常ですが、すぐに警察を派遣し、サウジの治外法権を認めず、捜査をしてしまったことになります。

この結果、トルコ警察はMbSが主犯である証拠を得たようですが、アメリカとの交渉によって、それを公表しないことを約束しその果実を得たのです。結果としてトランプ大統領は譲歩せざるを得ず、エルドアンはトルコの要求のほとんどを通したのです。

このように独裁と言われていますが、2018年末の事件は、トルコにはエルドアンがいなくてはならない存在であることを証明しました。

エルドアンの出自

エルドアンはトルコのイスタンブル育ちになります。トルコ共和国が第一次大戦を経て1923年に成立をしましたが、初代大統領ケマルから伝統的にトルコの政治家は、生まれ育ちのよい、一般的にはホワイトチュルクと言われている人たちが要職についています。

エルドアンは、イスタンブルの貧民街、中間層の出自であり、自身のことをブラックチュルクと呼んでいます。このような背景が国民からの圧倒的な支持を受けたのです。

また、イスラム教の高等専門学校に通い、のちに大学にも進学し、大学にてイマームというイスラム教で最高の聖職位といわれる資格を得ています。このイマームという資格はイスラム教スンナ派の最高位になりますが、なかなかこの位には就けません。

イスラム教といえば、みなさん過激なイメージを抱きがちになりますが、それはほんの一部の人間の話です。実際の普通の信者は極めて穏健で平和を好みます。ただし、エルドアンは昔から激しやすい性格です。実際に喧嘩を売られると徹底的に相手をつぶしにかかるのは今も健在な性格です。

エルドアンの政治デビュー

エルドアンの政治デビューは決して順風満帆ではなく、政治家となるために、選挙で3回敗退をしています。最初の政治家としてのデビューは昔のトルコの首都、イスタンブル市長になります。

金融危機の影響で、エルドアンは薄汚れた、イスタンブル市内でクリーン作戦を実行し、治安や清潔さを保ったことから劇的な人気を得たのです。つまりイスタンブルの市長というのはエルドアンの属する公正発展党(AKP)の岩盤支持基盤です。

今回(2019/3月)のトルコ統一地方選挙にて、エルドアン率いるAKPはこのイスタンブル市長職をほかの野党候補に明け渡しており、この事件によってエルドアン独裁体制にほころびが出てきたのではないのか、と言われています。ただし、トルコの統一地方選挙でAKPの得票数は44パーセントと過去の圧勝した選挙と比べても遜色のないものです。

エルドアンの脛に傷?

1923年のトルコ共和国建国以来、トルコは世俗主義を掲げています。これは、欧米でいう政教分離とは少し違いますが、同じようなものだとお考えください。

つまりトルコでは世俗主義が通っており、イスラム教イマームであるエルドアンが宗教色を打ち出して治世をおこなえば、当然、国際社会から批判が起こります。

くわえて、建国以来、政治がトルコ共和国創設のケマル将軍の理念に反した動きをすると必ず軍部が政治に介入をしてきます。

ところが一方でトルコ国民の99パーセントがイスラム教徒であり、この実態を元ブッシュ大統領はこの状態では政教分離の状態と言っても過分ではないだろう、という言質も引き出しています。

ただ、イスラム教を全面に出した治世はエルドアンがトルコ共和国建国以来、初めてのことであり、それが国際社会から非難を浴びる要因となっています。もちろんそれ以前にも、イスラム教を全面に出した政権はありますが悉く軍部のクーデターによって倒閣されています。

つまりトルコが国際社会から認められるためには欧米流の政教分離を取り入れなくてはならず、ほかのクルド人問題やEU問題が難航をするのもすべてはこの宗教問題が、エルドアン批判の源泉になっているように感じます。

エルドアン支持の源泉

エルドアンはイスタンブール市長時代やAKP党首、首相、大統領になって一貫して行ったことは、中間層、貧困層の生活向上に取り組んできました。

たとえば、エルドアン出身のイスタンブルの地域というのは、アメリカでいうNYのスラム街みたいなところであり、生活が困窮した地域です。その地域にエルドアン率いるAKPは豪華な住宅を建設し、そのほか社会保障も充実させたことによって主に、中間、貧困層の支持によって成り立っています。

つまりエルドアンが選挙に無類の強さを発揮するのはこういった支持が岩盤となっており、おそらくよほどの失政を行わない限り、トルコでの支持基盤を失うことはないでしょう。これはちょうど、アメリカのトランプ大統領が白人の中間・貧困層を支持母体としているのと一緒なのを想起させます。

エルドアン大統領は選挙での圧倒的な勝利を得て、大統領職の地位の改正を行い、現在ではほぼ間違いなくエルドアンは2024年まで大統領職を続けることになるでしょう。

エルドアンの激烈な性格

エルドアンはイスラム教聖職位の最高位の地位を得ているのにも関わらず、激高をすると顔を赤らめ相手を罵倒する性格です。通常、宗教の最高位の方々は穏やかで品のよい話し方をするというのが共通の認識になると思いますが、エルドアンはその一般的な共通の認識と対局にいる人間と観察することができます。

しかし、その猛烈な対抗心が現在のトルコに必要なものであるというのが冒頭のカショギ氏殺害事件でもおわかりになると思います。たおえば法相のギュルであればその頭脳明晰さから、おそらくサウジ政府に非難声明を出してから対処する、というのが通常のやり方でしょうが、エルドアンは治外法権を無視して、その上にそれを外交交渉の材料としてトルコ有利な方向にもっていくことのできる稀有な政治家です。

トランプ大統領が世界から嫌われるのは、そのやり方が通常のやり方と違うから批判されている案件が多数なのと同様です。フィリピンのドゥテルテ大統領が麻薬犯罪者は皆殺しとみなが眉をひそめるような政策を実現させるのも同様でしょう。

イスラム教スンナ派の最高職にありながら、このような性格は世間の常識とはかけ離れていることが国際社会から嫌われる要因ですが、こういった性格ではなくてはこういったこともできないことも事実です。

現在の難問

現在、トルコはロシアからS400という地対空ミサイルを2018/12月に購入しています。アメリカも今年に入ってからパトリオットミサイルの購入をセールスしましたがトルコ担当者に遅すぎるとにべもなく却下されています。

トルコは西欧傘下のNATOの一員であり、東側諸国の武器を買うのはご法度となります。この問題にて再びアメリカから猛烈な非難を浴びており、アメリカ議会は昨年F35の売却を凍結しましたが、再凍結を決定しています。またアメリカとの関税戦争でもアメリカ通商代表から最恵国待遇関税対象国からも、排除を3月に発表されています。

それに対してエルドアンはNZのテロ、中国のイスラム教排除に対して非難声明を出すのが精いっぱいの対応となっています。しかし、エルドアンは過去の窮地に追い込まれた事件に際しては、ミラクルな方法によってトルコの窮地を救っています。

そして、トルコの統一地方選挙によってイスタンブルなどの首長選挙にてAKPが敗退するなど窮地に追い込まれており、今後エルドアン大統領は何をするのか、注視が必要でしょう。

編集部
ライター:編集部
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