現在のトルコリラマーケット

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直近の発表予定 トルコ経済指標

  • 2019/08/16(金) 16:00 6月鉱工業生産(前月比)
  • 2019/08/15(木) 16:00 5月失業率
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 レポート

4月のトルコリラ相場の動向

3月31日にトルコで統一地方選挙が行われて、予想に反してエルドアン大統領が率いる公正発展党(AKP)を中心とした与党連合が投票数の約52%の票数を獲得して。16の主要都市で勝利しました。
しかし最大野党・共和人民党(CHP)が率いる野党連合が、首都アンカラで勝利して。トルコ最大の都市イスタンブールでも共和人民党(CHP)のイマモール候補が与党側の元首相のユルドゥルム候補に僅差で勝利するなどして、エルドアン大統領には厳しい選挙結果になりました。

為替相場は、この選挙結果からトルコ国民がエルドアン大統領の政策に反対していると考えて、政策の変化を期待して4月1日のトルコリラは買いが入り20円の大台を回復しました。

しかし次の日には与党の公正発展党がイスタンブールの全39選挙区の再集計を要求して、イスタンブール市長選挙の結果の無効を訴えたため、再びエルドアン大統領の強権発動があるのではとの思惑から、再びトルコリラが売られました。

エルドアン大統領の方針変更を市場関係者が恐れた

エルドアン大統領が選挙後、「自由な市場を尊重する」と発言をしてこれを好感したトルコリラに買いが入りましたが、今度はアンカラで行われた演説では「自由市場経済のルールに妥協することなく経済改革を実行する」と宣言して、自由市場経済のルールを守らないつまり自由な市場を尊重しないと急激な方針転換をしました。

この方針転換は何を意味するかというと、景気回復のために金利下げや通貨安政策を取ることを意図していて、方法として中央銀行に利下げを強要するということです。当然為替相場はこのエルドアン大統領の演説に驚いてトルコリラ買いを止めてトルコリラ売りに切り替えました。

為替相場が選挙結果の不透明感にリラ売りが再開

4月3日は前日の急落後の買戻しの流れを引き継ぎ、トルコリラは買いが優勢で4月4日にはトルコリラは20円台まで回復します。

しかし選挙が終わり、選挙結果が為替相場に織り込まれてからは、トルコリラ相場はトルコの経済状態の悪さを嫌気して再び下げに転じていきます。エルドアン大統領が、4月8日にイスタンブールの市長選挙は不正行為があったとして、選挙結果を無効にして投票の再集計をすべきと記者団に言います。

エルドアン大統領の再集計要求にどのような不正行為があったのか?集計に不正行為があったとすれば、選挙結果が変わってきますから、予想していたトルコ経済の今後も変わってきます。

市場参加者は、与党が勝利ならば利下げ圧力が強まると判断して、再度トルコリラを売り始めました。このエルドアン大統領が指摘した不正行為ですが、本来なら投票箱を管理する担当者が公務員のはずが、一部では公務員ではなく民間人が行っていたということです。この民間人が得票数をごまかす不正行為があったとして、記者団に報告しています。

与党の公正発展党(AKP)もこの件について選挙管理委員会に票数の再集計を要求し、市長選挙の再集計が行われ始めました。しかし落ち着きを取り戻した市場参加者たちはこの不正行為の件については、不正行為には疑問を感じてエルドアン大統領側の言いがかりにしかとらえておらず、再集計でも野党候補の勝利は変わらないと、再集計が始まったことを材料視しませんでした。

この不正行為の件でイスタンブールの39ある集計所のうちの8つの集計所で再集計が始まります。しかし、野党候補の勝利は変わらず、再度集計をやり直すと地元選管当局が2回目の再集計を決定するも、最高選挙管理委員会が4月15日に2回目の再集計の決定を覆し、公正発展党(AKP)の要求を退けました。

トルコがロシア製戦闘機の購入を示唆

4月10日にトルコのアルバイラク財務相が、トルコ政府が大手国有銀行に280億リラ(約5500億円)の債券を付与すると発表、国有銀行の財務体制を強化して貸し出しを増やして、トルコ経済の浮揚を狙います。

この発表でいったん下げ止まるトルコリラですが、4月11日にトルコ側が、アメリカが戦闘機F-35と地対空ミサイルパトリオットをトルコに売却しないなら、かねてからのロシアからのロシア製地対空ミサイルS400だけでなくロシア製の戦闘機Su-34やSu-57の購入を示唆して、アメリカに脅しをかけます。

当然アメリカ側はトルコ側の脅しに引くわけもなく、アメリカとの関係悪化を嫌気してトルコリラが売られます。しかし、15日にアルバイラク財務相が、トランプ大統領と会談をしてトルコがロシア製の防空システムを購入することに理解をしてくれたと語ったとトルコメディアが報じたとの報道で、トルコとアメリカの関係が険悪でないとの思惑から、16日にトルコリラが買われます。

4月30日にトルコとの関係悪化に伴いギリシャがアメリカに急接近して、アメリカとギリシャが軍事演習を行うことが決まり、またトランプ大統領とエルドアン大統領が29日に電話会談を行っています。

ユーロ圏総合PMI速報値が予想より悪かったのでトルコリラが再度売られだす

4月18日に、ユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)が発表され速報値は51.3と予想の51.8より悪くユーロ圏の経済が減速傾向にあることが示されました。ユーロ圏の影響が高いトルコ経済も悪化するとの見通しから、再度トルコリラ売りが加速します。

政策金利が据え置きでトルコリラが大きく下げる展開

4月25日にトルコ中央銀行の政策金利の発表があって、予想では金利引き下げがあるのではと、朝からトルコリラは下げていて、1トルコリラ=19円の大台を割っていました。トルコの中央銀行は、政策金利の1週間レポを年24.00%に据え置く決定を発表。さらに金融引き締めの文言を削除したため、金利は下げませんでしたが、将来の利下げを想定してトルコリラが大きく売られました。翌26日からは大きく下げた反動で買戻しが入りトルコリラは前日比プラスで引けました。

中央銀行がなぜハト派に変更したか

トルコの中央銀行はインフレ予防のために利上げを考えていて、利下げを希望するエルドアン大統領と対立状態でした。

しかし、国内の消費者物価指数の伸び率が年20%を割り込んできて、インフレが減速気味なことと、GDPがマイナス成長になることが予想され、引き続きリラ安を回避するために金利の引き下げを行わない代わりに、さらなる景気減速に向かう金融引き締めを行わない舵取りに方向転換した感じです(5月にリラ安を止めるために金融引き締めを実行)。中央銀行としては通貨安がインフレの元凶と考えているため、トルコリラの過度な下げには、緊急利上げを行う可能性がかなり高いです。地方選挙の結果でエルドアン大統領の政策に国民がかなり不満を持っていることが確実で、エルドアン大統領も前よりは強気になれず、利上げに踏み切りやすくなっています。しかしインフレ率の低下は国内の生産拡大ではなく、経済が疲弊しての国民の購買力が低下したのが主な原因で、富裕層の海外脱出など消費の落ち込みがインフレ率の低下につながっています。中央銀行はインフレ率をさらに抑えたいところですが、これ以上経済を悪化させられない問題を抱え込んでいて、ハト派に転換せざるを得ない状況に陥っています。

4月は下値を探る展開でした

19円69銭から始まったトルコリラは、月末には18円59銭と1円以上下げて4月の相場が終わりました。選挙結果から政策金利発表までの間、途中上げに転じましたが、再度売られだして、どこまで下がるかわからない下値を探る相場でした。材料出尽くし感と中央銀行の通貨防衛の意思表示が見えてきたことにより、5月からは反転の可能性が高いです。政策金利も6月まで現状維持の可能性が高く、上がらなくても大きく売られる展開にはならなさそうです。

編集部
ライター:編集部
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