金融政策変更の余地あり トルコ中銀新総裁ウイサル氏

銀行の独立性と透明性をアピール
新しくトルコ中央銀行の総裁に就任したムラート・ウイサル氏は15日、アナドル通信社からのインタビューに応じ、中央銀行の独立性と、金融政策の意思決定プロセスの透明・健全化について強く主張した。また、今後の金融政策について、慎重にではあるが手を加える余地があるとコメントした。
ウイサル氏は、中央銀行の最大の役目は物価の安定であり、これを実現するためにコミュニケーション・チャネルを確立することが不可欠との見解を示した。
記事によると、2001年の法改正以降、トルコ中銀はこの分野に多大な投資をしているという。今後さらに開発をすすめ、金融政策の意思決定プロセスとその決定の根底にある情報の共有や、中央銀行の市場運営に関するデータの共有を強化する方針だ。
また、中央銀行の金融政策への取り組みや一般的な問題についても、さまざまなメディアを通じてより具体的な情報をより頻繁に共有する予定だという。
今後の金融政策には手を加える余地あり
最近のインフレ動向と今後の金融政策スタンスについて聞かれると、ウイサル氏は、
「金融政策に手を加える余地があることを示唆している。」(引用はプレスリリースより)
と答えた。
昨年10月からインフレ率が徐々に低下していることに加えて、直近のインフレ水準およびボラティリティの低下に伴い今後のインフレ期待が低下しつつあること、またリラ安による対外コスト減少や国内需要の低迷を指摘している。
また、世界経済の後退により先進主要国の中央銀行が金融緩和をすすめることで、トルコのような新興市場経済へ資金が流入することは「不確実性」と警戒しているようだ。
一方で、純輸出の増加により経常収支が改善している点においては、これを歓迎している側面もある。特に、経常収支赤字の縮小と短期債務の減少のおかげで、準備金適正化指標が改善されている点においては、今後も必要措置を講じていくという。
目指すのは物価の安定
ウイサル氏は、物価の安定が確立されない限り、財政の安定は達成できないと指摘、
「物価の安定は不確実性を減らし、金利を引き下げ、それによって経済成長を支える。」(引用はプレスリリースより)
とし、ディスインフレーションの継続は、カントリーリスクプレミアムの低下と経済回復には不可欠であるとの見解を示した
6日付けの総裁更迭に関しては、エルドアン大統領の独裁人事であると非難の声が多い。今回の記事はそれを払拭する目的が透けて見える。
しかし、情報の公開は銀行の独立性を保つために歓迎されるべきだ。ウイサル氏は、近日中にも記者会見を行うとしている。
次回、金融政策委員会(MPC)は7月25日に開催される。
1リラ19円には届かず上値は重い
15日の外国為替市場、USドルは小幅ドル高となった。対円では日本時間昼頃1ドル108.11円まで円安へすすんだが、すぐに戻して1ドル107.9円台で推移している。
原油価格は1バレルあたり60ドルを少し割った。
トルコリラは、12日の「S-400」トルコ搬入のニュースがネガティブサプライズとなり値を下げたが、対ドルで1ドル5.70リラまで戻し同水準で推移している。また、対円では前日の安値を切り上げてはいるものの1リラ19円には届かず上値が重い。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
トルコ中央銀行総裁インタビュー(アナドル通信社)
https://www.aa.com.tr/en/economy/