トルコ初 イスラム経済金融研究所(MÜİSEF)創設

トルコ初 学術機関としてのイスラム経済・金融研究所
トルコ・イスタンブールにあるマルマラ大学にて7月30日、イスラム経済財政研究所(MÜİSEF)の第1回諮問委員会が開催された。
MÜİSEFは、2019年4月17日付けの大統領令(第967号)により設立された。イスタンブールを経済拠点とし、イスラム経済や金融に関して国際的な学術研究を行うことを目的としている。学術的研究機関としてはトルコ初となる。
同大学のÖzvar学長は、
「MÜİSEFの設立は、新しく公正で効果的かつ包括的な金融システムの確立への重要なステップだ。」(引用はプレスリリースより)
と述べ、MÜİSEFの使命はイスラム法に則った金融ソリューションや制度を提供することであると強調した。
同大学では、トルコ語だけでなく、英語やアラビア語での修士課程および博士課程の履修が可能だという。
リバー(利子)禁止のイスラム金融
イスラム金融とは、イスラム法に基づく金融のこと。イスラム法とは、いわゆる国家における法律ではなくイスラム教の教義をさす。
利子(リバー)や不確実な取り引き(ガラール)、投機的な取り引き(マイシール)が禁じられていることが特徴。主なスキームとしては、実物を介した取り引きや、事業への投資をベースとしたものがある。
各イスラム金融機関内には、イスラム法学者数名によって構成される「シャリア委員会」が設置されており、取り引きが適格である(シャリア適格)かどうかを判断している。
また、金融取り引きの準拠法はイスラム教国の法律である必要はない。従って、シャリア委員会によってシャリア適格であると認められれば、イスラム教国以外の法律を準拠法としたイスラム金融取り引きも可能だ。
広がりを見せるイスラム金融
イスラム教では利子(リバー)を禁止しているため、高度な経済発展は難しいと考えられてきた。
しかし、1990年代のマレーシアや2000年代のトルコに見られるように、イスラム社会においても目覚ましい経済発展を遂げている地域があり、三菱UFJなど日本のメガバンクでもイスラム債を発行するなど、徐々に広がりを見せている。
国際通貨基金(IMF)によると、イスラム金融資産は2003年から2013年の10年間で約2,000億USドルから推定1.8兆USドルまで増加しているという。
また、中東およびアジア12カ国においてイスラム銀行の普及率は15%を超えており、スクーク(イスラム証券)の発行は過去10年間で20倍増加し、2013年に1,200億USドルに達している。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
マルマラ大学プレスリリース
https://www.marmara.edu.tr/en/news/